モンブラン(Mont Blanc)4807m

2012年8月13日〜14日

メンバー:岩田 修一・真利子 野木・和田

8月13日 晴

F:\NIKON 01\DCIM\shamonix\100NC1J1\DSC_3510.JPGモンブラン三山

連日の行動で少し疲れが溜まっていたこともあり昼過ぎにアパートを出る。駅近くで食べたケバブサンドウィッチ、メチャクチャ美味しくて欧米サイズだったが残さなかったので高所で消化不良にならないかちょっと不安になる。

コスミックヒュッテ手前で、先に出発してトレーニングを終えた野木・和田さんと合流。ヒュッテ内は木材にイラストなど施してありかわいらしい。壁にスカーフが額に入れて飾ってあるのでよく見ると、8環やカラビナ、ロープなどと花を取り合わせたとても素敵な柄である。もしや、と思って探すと、やっぱり「HERMES」のマーク。さすがおフランス。日本の「小屋オリジナル手ぬぐい」と同じ感覚?

夕食時、隣の独人男性がやたら喋りたそうにこちらを見るので声を掛けると、ユーロ加盟国の高山制覇を目指しているとのこと。ガイドの男性はモンブランの翌日、マッターホルンの予約が入っているらしい、ハード。

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美味しいケバブ     コスミック山稜とミディ南壁      コスミック小屋の食堂

8月14日 晴

1時半起床、暖房が入っているせいか暑くてあまり寝られなかった。食堂に行くと定刻2時前より食べられたようで、食事を済ませて出て行く人もいる。他のヒュッテならセルフだが、ここはおじさん1人で、各パーティを確認してパンを切ったり飲み物を用意するので順番を待たないといけないのでまどろっこしい。西欧人はシリアルだけとか軽く済ませるが、どうしてあのパワーが出るのか不思議でならない。トイレに関して言えば、日本なら出発前に済ませる人(特に女子)は多いが、ヒュッテのトイレで出発前に人を見ることは少なかった。変な話、膀胱も大きいのかなぁ。そして中には食べながらハーネスを履く人もおり、とにかく準備も早い。私達も、見習って早く出発できるようになった。

本日は60人くらいの登山者か、先頭グループの集団に位置する。タキュール(Tacul)直下のセラック下部に幅の狭いクレバスがあり、傾斜も急になってくるので停滞。数パーティを追い越す。風が弱く氷点下ではないので、高度順化が出来ている私達は快調である。モディ(Maudit)に向かって登り返し、順番待ちが出来ている。氷壁で、ピッケル・アイゼンがうまく使えずガイドに引っ張ってもらっている。取付くと、FIXあり、ピックの刺し跡あり、壁は氷の階段になっており難しさはない。コルに出ると朝焼けが広がり美しい。

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頂上への最後の登り 夜明け

高度が上がり、冷え込んできたので上からダウンを重ね、ここからひたすら雪面を登る。皆苦しそう、笑顔が消え徐々に間隔も開いていく。雪の状態が良いので登りやすいが、斜度があるので降雪後や氷化していたら行動時間にかなり差が出たかもしれない。早めに防寒したので体調は良好。グーテ側から登ってくる人が見えてくる。頂上は稜線に沿って広がっており、パーティ毎に横並びで休憩している。ヨーロッパ最高峰に立ち、マッターホルンやモンテローザも見える。

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山頂の風景 山頂にて

スリップに用心し、下ること約30分、野木・和田さんが上がってきた。

2人はグーテ側に縦走するとのことで、アパートで会うことを声かけて別れる。

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山頂を目指す二人

モディのコルで独人のおじさんとガイドさんに会う、最後尾。相変わらず明るいが、ガイドさんは翌日マッターホルンの仕事があるだけにお金積まれても時間制限で頂上は厳しいだろうなぁ、と思った。案の定?ガイドさんはほどほどに引き返せると考えているのか?昨夜と違ってなんだか表情が明るい。ところが後日、町でおじさんとばったり出会い、登頂したと聞く。なんとも名ガイドだったのかな。

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独人のおじさんと ガイドに引っ張られて登るおじさん

モディの氷壁、前は4人パーティ、順番待ちをしていると、後ろから来たガイドが横からロープをあっという間にセットし、客をロアーダウンさせだした。ムカつくが、本当にこちらのガイドのロープワークは見事である。よく見ると氷壁と横の大岩を挟んで少し離れてもう1本FIXがあるではないか。それを使って氷壁下の安全地帯に降り立った。

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氷壁の下降 氷壁

どんどん暑くなり、タキュールのセラックも広がっている。

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セラックの通過

最後のミディ展望台への登り返しは、時間にすればたいしたことないが、本当に辛い。でもなぜか絶好調だったので、スピードを上げたがらない修一をロープで引っ張りながら登る。展望台に上がると、客が多いのでロープウェイの整理券を配っている。なぜか修一は順番待ち無しのガイド優先券を渡される。お姉さんにガイドじゃないと言うがウィンクされ、私には普通の整理券である。乗り場に行くと背後に本当のガイド(シャモニーのガイドは皆おそろいのウェアなので一目で分かる。)がいるではないか。修一に向かってガイド?と聞いてくるので苦笑いしていると、向こうも笑っている。たまにする洒落なのか。見た目の濃さは負けないが、こんなチビッ子ガイドはあり得ないでしょ。

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ミディ駅への登り GUIDE優先権を持ちニンマリの修一

無事ロープウェイに乗りアパートに戻り、2人が手土産で持って来てくれたカレーうどんを作って頂く。今回の旅で後にも先にも1回きりの日本食。心底美味しかった。ビバークするかもしれないと言っていた2人も早々に戻ってくる。夕食に中国料理店に行き餃子とビールをご馳走になった。当初、天候から私達2人は10日にヒュッテに入る予定であったが、ガイド組合で、降雪後で晴れは続くが風は強いので責任はとれない、延期するようアドバイスを受け、日程を変更した。町も山を眺めても晴が続いたので信じがたかったが、観光案内所のベルナデッドさんも横浜の2人も「ガイドの言うことは絶対」という話を聞き大人しく待った。結果、快適に登頂し下山することが出来た。降雪後、数日経っていたので、踏み跡が出来上がっており、雪壁や傾斜の強い登りの難易度は優しくなっていたと思う。風も弱く気温も氷点下になかったので、体力の消耗も最小限だったのではないかと思う。改めてシャモニーのガイド組合が絶対的な存在であることを感じた。

朝食( 2:00)コスミックヒュッテ(2:50)タキュールのコル(4:30)モンブラン頂上(7:20〜7:40)タキュールのコル(10:30)ミディ展望台(13:20)