屏風岩東壁・雲稜ルート クライミング

日時: 2005年10月8日〜10日

場所: 穂高岳・屏風岩・雲稜ルート

メンバー: 岩田・柳瀬

紅葉が美しい穂高岳の屏風岩、その中の名ルート「雲稜ルート」に柳瀬と行くことになった。岩田は雲稜は30年?振り二回目、柳瀬は始めての屏風岩である。

10月8日(土) 雨
今にも雨が降り出しそうな中、観光客で一杯の上高地を出発、途中から雨が本降りになり、横尾のトイレのひさしの下で雨が弱くなるのを待ち、テントを設営する。今日はT4のテラスでビバークの予定であったが、この雨ではどうしようもないので早く寝て、明日早く出発することにする。

上高地(8:00)〜横尾(11:20)

10月9日(日) 晴れ
起きて空を見ると星が出ている! パンにチーズとスープのビバーク食を食べ、ヘッドランプを点けて直ぐに出発する。
横尾谷を渡渉する地点に着いた時、夜が明けてきた。渡渉地点を探すも飛び石伝いには行けそうにない。冷たいけど裸足になって水に入るも、以外に深くパンツはお股まで濡れてしまった。
T4尾根取り付きに着くと、先行パーテイが登り始めている。我々も登攀をスタートすると、後続パーテイーの6人が登って来た。東京のガイドとお客さんのパーテイ達でガイドは猛スピードで我々を追い立てて来る。 T4尾根は合計4Pで抜け、T4テラスへ出る。

渡渉地点
T4尾根の登攀

さあ、いよいよ雲稜ルートの登攀である。
1P目、顕著な凹角を快適に20m登り、凹角内でビレー。(IV・A0・20m)
2P目、ハング気味を強引にA0で越え、テラスでビレー。(IV・A0・30m)(ガイドのお客さんはここが越えられず苦労していた。)
3P目、フェースをピナクル目指して右上(以外に微妙なフリー)し、ピナクルから扇岩テラスへ左上する。(IV・A0・30m)

屏風岩を見上げる
雲稜ルート1P目

4P目、いよいよ問題のボルト・ラダーである。リングボルトのリングが無く、4mmの古いシュリンゲが掛かっているやつや、リングがあっても伸び切っているやつばかり。ショックをかけないように慎重に登る。途中ペツルが2本ありそこだけホッとする。ルート図ではハング下のバンドがビレー地点だが、バンド下3m地点のビレーポイントでビレーする。もう、こんなピッチは二度とリードしたくないと思った。1本切れたらどこまで落ちるやら・・・。(A1・35m)

雲稜ルート4P目、ボルトラダー
4P目の柳瀬

5P目、バンドを右へトラバースし、東壁ルンゼに入りビレー。(IV・10m)
6P目、見上げる東壁ルンゼは昨日の雨で水がしたたり落ちている。でもここまで来たら登るしかない。壁は濡れているけど、残置ハーケンは多いので助かる。スラブのフリーを想像していたが、今はA0多用の登りである。(IV・A0・20m)

濡れた5P目を見上げる
5P目フォローする柳瀬

7P目、1箇所、剥がれそうな草付に立つ時と、濡れたスラブのトラバースで片足がスリップした時は肝を冷やしたがどうにか終了。(IV・A0・20m)
8P目、草付が多くなってきたルンゼを直上。(III・20m)
9P目、いよいよ最終P、草付階段の凹角でルート図ではII級となっている。しかし、上部の草付は落ちて、脆い濡れた岩が露出していて結構悪い。ランニングビレーを取っていないので、ここで落ちたら50mは転がり落ちるであろう。非常な緊張を強いられて終了点に這い上がる。ガイドさんがルート上部で、落石事故があったと話していたが、ここのことであろう。現在はここまで登らず、途中で下降するのが一般的らしい。
終了したのが16時15分、ここから懸垂下降で降りることも考えたが、神経をずいぶんすり減らしたので、より安全な屏風の頭越えで歩いて下山することにする。しかし、稜線に出るのにも、ロープを出す所が数箇所あり時間が結構かかる。18時屏風の頭到着。涸沢の灯りがきれいだ。今頃美味しい夕食を食べているんやろうなあと、考えながらヘッドランプを点けて先を急ぐ。しかし、屏風の肩からの下りで道をはずしてしまい、藪を漕いで小ピークに出ると、そこは3ツの遭難碑が立つ場所であった。道を探すも不明瞭で分からず、ビバークすることに決定。(19時15分)快適とはお世辞にも言えない窪地にツエルトを張りもぐり込む。メタで少しの紅茶を温め、非常食を一口食べて雨具を着込んで早々と寝る。(シュラフカバーは無し)風は強いがそんなに寒くはない。朝方、少しガタガタ来たが、まあまあよく眠れた。

横尾4:30発〜渡渉終了6:00〜T4尾根登攀開始7:40〜雲稜ルート登攀開始8:30〜登攀終了16:15〜屏風の頭18:00〜肩の下部2365ピークビバーク19:15

涸沢
涸沢の紅葉

10月10日(月) 晴れ〜曇り
昨日の疲れか起きたのが6時、紅茶を一口とバウムクーヘン一欠片食べて出発。昨夜は最低コルへ降りる道を曲がらず、誤って直進してこのピークに来たらしい。遭難碑は大阪の某山岳会のであった。登山道に戻り最低コルから、横尾谷へ直接降りるため藪に突っ込む。約50分で登山道に出合い、沢山の登山者を追い抜いて(約100人)横尾のテントまでひた走り、昨夜に飲む予定であったビールで今回の登攀成功?を祝い乾杯し、今回の山行を終えた。

ビバーク地点6:20発〜最低コル6:40〜登山道7:30〜横尾9:15〜10:30上高地13:20

屏風岩全景


関西蛍雪山岳会トップページに戻る