2018年秋 九州クライミング遠征の報告


日程  : 11/21夜発 22~25 3泊4日
メンバー: 望月、下里、田邉、南條、山田浩(2日目より合流)

ここ数年、秋に九州へクライミング遠征に行くのが恒例となっている。今年は昨年同様、4日間のツアーを計画し、前半2日間は大分県・本匠の岩場で石灰岩のフリー、後半は宮崎県・鉾岳、比叡山でアルパインとボルダリングを楽しんだ。幸い遠征中は天気も恵まれ、多少寒い思いはしたものの、最高のコンディションの中でのクライミング、さらに全国各地のクライマーとの交流も楽しむことができた。
九州への行き方だが、大阪から愛媛県八幡浜港まで約400キロ、そこから大分県臼杵港まで夜中のフェリーで移動。これだと短い時間だが船内で寝て行けるので、オール陸路で行くよりだいぶ楽だ。時間的には、船で寝ている時間を除けば小川山や八ヶ岳に行くのとそれほど変わらず、費用も(これは車一台当たりの人数でだいぶ変わるが)往復で宿代なども含めて2万円強と、九州まで行って4日間滞在するとしては結構安くあげられたと思う。

初日(11/22)、臼杵港は通り雨が降っていたので、市内のファミレスでゆっくり朝食を食べてから移動し、それでも朝9時過ぎには本匠の岩場に到着。初日は看板エリアの遊歩道エリアにて1日登り、(ここは岩場全体がどっかぶりなのでほとんど雨の影響なし)、すぐ横のキャンプ場のバンガローに宿泊した。2日目は朝のみ遊歩道エリアで前日残置したヌンチャクを回収がてらRP狙いで再トライし、その後は魚道エリアへ移動した。
(ちなみにバンガロー代はクライマー割引あり、一棟2320円と大変安い)
遊歩道エリアでは、タラチネ(5.11a)、バットマン(5.11b)などにチャレンジ。特にバットマンはエリアを代表する強傾斜(130度)ゾーンにあり、下里、田邉が繰り返しトライしたが惜しくもRPならず。望月、南條はタラチネを狙うも、下部ワンムーブが解決できず(そこさえ越えればガバが続く快適ルートなのだが)宿題に残してしまった。


バットマン(5.11b)


2日目(11/23)は遅れて合流した山田浩も含めて魚道エリアで思い思いに11台に挑戦する。天気は快晴で、岩場は暖かく快適だ。夕方に移動予定でもあり、正味半日ちょっとのクライミングだったが、結構成果もあり、楽しめた。
・エンジェルタワー(5.11a)山田浩RP
・鈴木君のルート(5.11b)下里RP
・ブラザーズ(5.11b)田邉・望月・山田浩RP

終了後、食事、買い出しを済ませて宮崎へ移動。庵鹿川ロッジ泊。東京、広島などから10人以上のクライマーが宿泊しており大変賑やかだった。


ブラザーズ(5.11b)


11/24 宮崎県・鉾岳 雄鉾左稜線 (6p Ⅵ A1)
今回のメインイベントは雄鉾岳。
多くのルートが拓かれている雌鉾よりも鋭く聳え立つ、見栄えのいい岩峰だが、傾斜が強いためかルートが少ない。最近フリー主体のマルチピッチルートが開拓されたとの情報を得て挑戦することになった。6ピッチだがアプローチの道迷いや登攀、下山に時間が掛かると想定し早朝発とする。
朝6時、気温マイナス3度と非常に冷え込み真っ暗な中でロッジを出発し、日の出と共にアプローチ開始。雌鉾岳取付きへの登山道を30分ほど登った後左へ続く踏み跡を辿る。鉾岳の山裾を北面へ回り込み、壁の末端まで、まあまあな急斜面を登るが、テープ等かなりわかりやすく、分岐から30分程でほぼ迷わずに分岐から取付きへ到着。快晴だが、ルートは北面のためずっと日がささず,
とにかく寒かった。オーダーは、下里・田邉・南條P、望月・山田Pに分かれ、8:30に登攀開始。

(以下、望月・山田Pの記録)
・1P目(30m、Ⅴ、スラブ):望月リード(ワンテン)
・2P目(40m、Ⅳ、スラブ):山田リード
下部2ピッチは緩傾斜だが、特に1ピッチ目はかなりホールドスタンスに乏しくシビアなフリクションクライミングとなる。とはいえ(宮崎のスラブにしては)割とピンは多いので、そこまで怖くはない。(2ピッチ目はNPも使える)



 左稜線 1ピッチ目

・3P目(35m、Ⅵ+、フェイス~凹角):望月リード(A0+振り子トラバース)
ここからぐっと傾斜がきつくなり、スラブからフェイス登りに変わる。序盤はホールドスタンスが多く登りやすいが、中盤の小ハング下の垂壁がホールドに乏しく、A0しても抜けれず、さらにピン間隔も遠くあぶみも使えない。一瞬途方に暮れたが、フェースの右側が藪のルンゼ状だったので、少し降りて横っ飛びの振り子トラバースで藪に突っ込み、垂直木登りでどうにか抜けた。もう何でもアリだ。その後もピンが遠い、やらしい凹角を苦労して登り、よれよれになって終了点へ到着。日陰で非常に寒い。

・4P目(35m、Ⅵ+、フレーク~大チムニー 山田リード(A1)
本ルートの核心ピッチ。先行パーティの下里氏が苦労して人工登攀で越えていくのを見て、このピッチのリード担当でなくてよかった、、、と正直思ってしまったが、山田氏は、素早いレイバック、あぶみテク、時にはカムエイドも駆使し、ピンが途絶える部分はチムニー登りで前進と、寒さに耐えながらも気合のクライミングを見せてくれた。ビレイ中で全然写真を撮る余裕がなかったのが残念。大フレークの上まで抜けて終了点で、一気に視界が開ける。山頂まであと少しだ。



左稜線4ピッチ目の写真


・5P目(25m、Ⅵ+、フェイス~ハング乗越し~フレーク)望月リード(A0)
出だし5mほどをA0で登り、右側のハングをガバをつかんで越えてリッジの上に立ち上がる。その後も傾斜がきついフェースが続き、しばらくA0をやめられないが、5mほど登ったところからはフリーに戻り、左手にガバフレークをつかんで豪快なレイバック。とはいえピンが遠いので、カムがないと結構怖かったりする。


・6P目(30m、V、スラブ)山田リード
出だし5mほど、1ピッチ目と同じような微妙なフリクションスラブを行き、スラブのてっぺんに立った後はほぼ歩きで山頂へ。15時に登攀終了。ロープ、ガチャ等をまとめ、ハイキング道から下山。途中若干迷ったが、17時過ぎに駐車場に到着。日の出前から行動開始し、ちょうど日が暮れる頃に帰ってくることができた。残照に照らされた雄鉾岳が美しかった。夜は庵鹿川に泊まる。暖かい囲炉裏を囲み、充実感と安堵で夜は呑んだくれてしまった。



 鉾岳山頂にて


 雄鉾岳全景
 

1125 比叡山 Ⅰ峰第一スラブ(山田・南條)、ヤケダケボルダー(田邉、下里、望月)
流石に3日登ると身体のあちこちが痛い。最終日は午前中のみで午後は帰阪の移動となるので、田邉、下里、望月は比叡山麓のヤケダケボルダーでまったりボルダリング。
山田、南條は比叡山Ⅰ峰の第一スラブを登攀し、終わった後はボルダーも少し登って、昼には比叡山を出発。約半日の長旅で夜11時前に大阪に戻ってきた。


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