甲斐駒ヶ岳 戸台川本谷
日程: 2015年8月13日~15日
メンバー: 堀内、田中澄、望月
まず、甲斐駒ヶ岳という山が良い。 標高は3000mに迫り、スケールも、仰ぎ見るシルエットの美しさも申し分ない。今回の山行は、その甲斐駒の西面、戸台川の本谷を詰めて本峰のピークを踏むのが目的だ。 しかしこのルートは、今まで経験が無いような急斜面と滝がつらなり、枝沢も多くルートファインディングも難しそうだ。過去の記録や情報は少なく、それも冬季のアイスクライミングが主。決して人気の沢ではないが、甲斐駒西面のど真ん中、標高差約1000mあまりを詰めて登頂できたら爽快だろう。幸い、合宿の沢登りパーティのメンバーへも賛同いただき、夏合宿として山行が決まった。直前まで天気が心配で伯耆大山の沢等、行き先を迷ったが、南アルプス付近はそこまで悪くないと踏んで12日夜に梅田を出発。沢中一泊、2日目にピークを踏んで北沢峠に幕営し、15日に下山の予定で出発した。
8月13日
明け方から雨が降り出し、この日は半分アプローチということもあり出発を9時過ぎに遅らせる。結局晴れてきたので、暑い中単調な河原歩きで疲れてきた頃に丹渓山荘跡に到着。ここから沢に入っていくが、驚くほど水量が少なく拍子抜け。2時間弱でビバーク地の七丈の滝沢出会いに到着し早々に行動を打ち切る。
七丈滝沢出合での快適なビバーク
[コースタイム]
9:40 戸台駐車場 出発 - 11:25 角兵衛沢出 - 12:05 丹渓山荘跡 - 13:40 七丈の滝沢出合
8月14日
予定より寝坊してしまったが6時には出発。しばらく歩くと五丈の滝15m。左岸から巻くがいきなりシビアな高巻きでしびれる。その次の15m滝も厳しい高巻きで、ロープを出す。先が思いやられる。駒津沢、奥駒津沢の出合を見送り9時に水場の沢出合。ここから山頂までまだ900mもの標高差がある。
ここからは要所要所で10m級の滝の突破または高巻きが続き、岩も基本もろくフリクションも悪い。本流は明瞭に見えるのでとにかく登って行くしかないが、後から考えたらどうやら2100m近辺で本流から外れて左俣へ迷い込んだらしい。実際のところは不明だが、その後ひたすら直登して行くとドンドン壁が立っていき、水量も減り、おそらく標高2400m近辺で行き止まりの絶壁しかもボロボロに突き当たる。側壁もハングしかつボロボロで、進退極まりかけたが、堀内さんに悪場2ピッチをリードしてもらい、どうにか脱出。このあたりは浮石落石もめちゃ多く、支点のハーケンも効かず、結果無事に抜けられて良かったが相当シビアな登攀だった。
気づけば涸れ谷をひたすら直登
悪場を抜けた時点で16時近くであり、標高差を考えると正しいルートに戻れてもその日中の登攀は厳しい状況で、もう一晩ビバークも有り得た。右へ右へ藪をトラバースして行くと、本谷上部にぶつかる。ここは大きなルンゼだが現在進行形で崩壊が進んでいるようで、側壁は剥がれた跡が生々しく、ルート上は浮き石の巣である。本谷を横切ると登山道のある稜線が割と近く、この段階で3人ともヘロヘロに疲れていたため登頂は断念し、最短距離で登山道へ向かうため、トラバースを続ける。
ガレたルンゼを詰めると落石の巣
最後は背丈以上のハイマツ帯を泳ぎ、ギリギリ日没直前に登山道の八合目(六方石)に詰め上がった。緊張感が一気に緩み3人とも感無量。登頂は逃したものの無事抜けられたが、実にしょっぱい沢だった…暗くなった後、仙水小屋に到着しテン泊。無理言って売ってもらったビールが美味かった。
[コースタイム]
4:30 起床 - 6:00 出発 - 8:15 駒津沢出合 - 9:00 水場の沢出 合 - 17:40 稜線(六方石) - 18:20 駒津峰 - 19:30 仙水小屋
8月15日
朝から快晴でのんびり起きて出発する。北沢峠からは歩きやすい登山道で戸台川まで下り、日陰の歩きやすい登山道を歩いて昼前には登山口に到着した。戸台川の河原から振り返ると途中間違えた本谷が山頂まで続いており、やはり登れなかったのは悔しかった。しかし次行くとすれば沢ではなく冬にアイスだろうか。本谷以外にも戸台川エリアには氷のゲレンデや本チャンが色々とあるので、また何らかの形でチャレンジしてみたい。
[コースタイム] 5:30 起床 - 7:00 出発 - 11:10 戸台駐車場
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