双六岳周辺

2005年5月3日(火)〜5月6日(金) 
メンバー: 村上 川辺 谷岡
天 候: 5月3日、4日快晴 5日晴れ 6日くもりのち雨
コースタイム: 5月3日(火) 村営駐車場6:40〜中崎橋8:10-8:20〜ワサビ平小屋8:45-8:55〜大ノマ乗越への道との分岐地点12時頃〜弓折岳手前の稜線17:00〜19:00双六小屋テント場
5月4日(水) テント場11:20〜双六岳13:00-13:30〜14:00テント場〜樅沢岳15:00-15:15〜15:25テント場
5月5日(木) テント場5:50〜モミ沢の2100m地点6:20-6:50〜鷲羽池下部北に伸びる稜線10:40〜鷲羽池東の2800地点11:10〜鷲羽岳12:40-13:00〜樅沢の2000m地点14:00-14:40〜テント場16:40
5月6日(金) テント場7:50〜双六谷と大ノマ乗越の出合8:20-8:40〜大ノマ乗越9:50-10:05〜ワサビ平小屋11:25-11:55〜駐車場13:00

今回GWの4日間を使い、ベースを置いて山スキーとピークハントの両方を当て込んで双六岳へ行ってきました。ベースというと、立山の印象があり油断から荷物が重くなり、結果一日目の行動時間が12時間もかかってしまい2日目は体を休めるために半日だけ近場でスキー、3日目にスキー三昧の予定が登る沢を一本間違えたケガの功名でピークハントも果たすと言う充実した山行になりました。

5月3日(火)
2日の晩10時に阪急武庫之荘駅集合で、新穂高温泉に3日の朝4時頃着、仮眠。6時起床で準備をして出発。駐車場は8分方入っており一番上はもう空いてなかった。そこここで準備をする人で一杯だ。 林道のはじめに雪は無く所々残雪を越えて行く。歩き始めて程無く汗ばみ、すぐに半袖になる。いかにも急登そうな笠新道との分岐を越えると、ワサビ平小屋。ここからスキーで登る。右手に下丸山を見る辺りから前方の斜面、小池新道に沢山の人が取り付いているのが見えてくる。何度かの休憩
時にも登山、山スキーのパーティに追い追われつする。

当初の予定では大ノマ乗越経由で、登りは多少カット出来て滑りも交えてテント場に行く事になっていたが、登りに差し掛かりそれまでも怪しかったペースが一気にダウン。先頭の村上さんとの間がみるみる空いて行き、1時間ごとの休憩にも調整しつつ立ち止まり、待ってもらう。大ノマ乗越への登りの分岐に着く頃には、すでにへばり気味でかなり急な大ノマ乗越への斜面を見ても登る気力はとうてい沸かず、このまま夏道通りに稜線に出て行く事になった。
が、ここから長い一日が始まった。登れども登れども稜線は遠く、歩みはますますアリのようにゆっくりになり、上部でスキーを担いでからの直登では30分に1回の休憩も効を成さずさらなるペースダウン。とうとう最後の数十mは待ちかねた村上さんが空身で降りて来てザックを持ってあがってくださった。感謝。
それからはスキーを履ける所は履いて、それ以外は牽引しながらだらだらとした稜線の小さな登り下りを繰り返し、最後のトラバースはほぼ雪が消えたハイマツの中、夏道の石をヨロヨロと踏み、スキーを引きずってもおかまいなしでテント場を目指す。最後の最後に又スキーをザックにつけないと歩けない所に出、観念して担ぐ。薄暗くなった頃、遠くにテント場の明かりが見えてきた。後少しの所で、遠くからヘッデンをつけた村上さんがテントの設営を済ませて向かえに来てくれるのが見えた。

テントにつく頃にはすっかり暗く周りのテントの明かりも消えているところがほとんど。小屋は周りにスキーが林立しテントの数は10張りほど。ここのテン場は無料なのに小屋の中のトイレが使えると言うありがたいものだった。取りあえずビールで乾杯。山では遅い夕食を摂り目覚ましはかけずに就寝。長い一日が終わった。

5月4日(水)
夢うつつに鳥の声や人の声を遠くに聞き、すっかり明るくなり夜半寒かったテントの中も熱を帯びるくらいの時間に目覚める。暑さにすぐシュラフを抜けだし、上に羽織っていたものを脱ぐ。
今日は見えている斜面を軽く滑ろうと言う事で、まずテント場から双六岳へと登る。上までシールで登高。川辺さんは昨日からシールの調子が悪く、牽引で直登。登っている時も数人が滑リ降りてきた。1時間半で頂上到着。山頂部分には雪は無く、昨日に引き続き快晴のアルプスの山のパノラマをゆっくり楽しむ。


笠ヶ岳

いよいよ今回初めての滑降。快適に30分程でテント場へ。そのまま小屋の前からスキーを担ぎ雪の無い夏道で向かいの樅沢岳へ。風がきつくザックのスキーで身体が振られる。こちらは1時間で頂上へ。


三俣蓮華岳

双六岳から見えていたモミ沢を滑っている大人数のパーティを含む何組かが今度は先ほど私達が滑った双六岳の南東斜面を登ったり滑ったりしている。今日の予定はここを滑って終了。明日に備えて早く寝る。


樅沢岳からの滑降 その1


樅沢岳からの滑降 その2

5月5日(木)
4時に起床。朝方だけシュラフの中でも寒さを感じるほど気温が下がる。今日の予定は昨日見たモミ沢を下り弥助沢を三俣山荘まで登り、黒部源流へ滑降。同じ所を登り返すか、余裕があれば鷲羽岳へ登り返して弥助沢を滑降し、元来た道を戻る、と言うものであった。

モミ沢の下りは最下部は条やデブリ跡も出てきた。稜線を巻き気味にどんどん下りモミ沢の水が出てきた辺りで1箇所トラバースに気を使う所があり、その先でさらに別の流れを一箇所かろうじて雪で繋がった部分を越え、更に山裾を巻きながら進みそれらしき沢筋に取り付いた。

高度を上げるうち視界が開け、左手の尾根1本向こうに目指す弥助沢が見えた。戻るか登るか思案のしどころだったが、方向からすれば鷲羽岳へ向かっている、とこのまま登る事にした。傾斜がきつくなったのでスキーを担ぎ、最後はかなりの急登をつめると、ハイマツが行く手を阻んでいた。
 
実は下からあんな所にと思うような所に2本だけシュプールが付いていたのだが、どうやらその沢へ取り付いたようだった。しかし近くにきてもシュプールだけで登った跡は無い。村上さんが偵察に行ってくださり、上部のハイマツを越えるのは無理、十数歩下りシュプールの始まってる辺りからハイマツを少しだけトラパースで越えるとその先に進めそうな事がわかった。ほんの数メートルであったが、ここのハイマツは高さが1mちょっとあり太目の枝に上手く乗って越えないと枝と枝の間の深みにはまり込んでしまう。なんとか越え、少し緩くなった斜面をスキーを担いだままややトラバース気味に登って行く。地図を見ると鷲羽に向かっているとは言え距離はかなりありそうだ。少し平らな所が鷲羽池かと見当をつけていたが稜線につくとまだ先がある。


鷲羽池への登り

いよいよ本物の鷲羽池を右から回り込むように鷲羽岳への尾根に取り付く。ここから見える南東斜面にやはり2本のきれいなシュプールがついている。が、体力的にも限界を感じここにスキーをデポして頂上を目指すことにした。稜線上は雪が無い所もあり、所々のハイマツとガレ場を越えて行く。とうとう予定では登るのをほぼあきらめていた鷲羽岳頂上に到着。


鷲羽岳への最後の登り

今日もおおむね快晴、今回の最高峰からのパノラマをゆっくりと堪能する。休憩中に川辺さんは尻セードで下ったら早い、とカッパの下を穿いて準備万端。面倒だと着ていなかった村上さんだったが、私と川辺さんが頂上からほんの何十mか下っている時、そんなガレ場は何のそのさっさと下って、雪の部分もあっと思う間に尻セードで下って行ったのでした。ほぼ頂上からの尻セードで下りは一気、さらに少し下るともうスキーをデポした所に戻って来た。

スキーを履き程よく広い傾斜を滑る、下り過ぎないように気をつけてトラバースでハイマツを越えた所に戻る。また同じ苦労をし、あの最後の急斜面。滑りたい気持ちだけはあったが上に立って見るととても無理、そのほんの一部分は横滑りでかわし、あとは長い滑りを楽しんだ。元来た道を戻り水の出ている所では顔を洗って、冷たい水を思いっ切り飲んで大休止。最後のモミ沢を登り返して山の向こうに夕日が隠れる頃テントに帰り着いた。
この日は結局誰にも会わない静かな山だった。テントの数は半分以下に減っていて、小屋の登山客も一気に減ったようで小さな戸を残して、表口には外からかんぬきが掛かっていた。


5月6日(金)
朝、起きると残りのテントは2つだけ。空は薄曇り、双六谷への下り上部の雪は少し堅かったがすぐ柔らかくなる。しかし雪面はトレース跡や条が出てしかも荷物も担いでの滑り、快適とは言えない。2000mを目安に下り、大ノマ乗越への登り。最後までシールで登高出来た。


大ノマ乗越からの下降

槍ヶ岳を背景に最後の滑降。小池新道に着きトラバースしながら最後の下り、かなり疲れてきて少しのバランスの崩れで何度もこけてしまうが傾斜が緩いと余計に立ちあがりにくく、いちいちザックをはずす。この辺で一人だけ登山者を追い越す。下りで出会ったのはこの1人だけだった。ワサビ小屋からの林道の雪は4日前と比べて解けているようだった。

車もほとんど残っていない駐車場に着き、しばらくすると小雨が降ってきた。上の駐車場に車ごと移動し、村営温泉に入り、お昼を食べた後、帰路へ。途中から降り始めた雨はどんどん激しくなり大阪に近づいてやっと小降りになり、尼崎に着く頃ようやく上がった。渋滞もほとんど無く、5時間半くらいで帰って来る事が出来た。

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