南紀 熊野川 立間戸谷遡行

2005年9月23日〜24日
メンバー: 岩田、村上、川辺、柳瀬、谷岡

9月23日 快晴
一日目の泊地までのコースタイムが2時間半ほどなので、朝発にして南紀へ向かう。途中24時間営業のスーパーで買い物も済ませ、それからまだ長い道のりを経て一度通りすぎてしまった子ノ泊山登山口に到着。他に車は無く、脇に寄せて駐車し準備後出発。植林帯の中の道を行き巨岩帯あたりから入渓。最初は水も少なく、小さい倉庫程もある岩の間をアリの様に這い登り進む。やがて最初の滝源助滝が見えてきた。右岸を巻こうと岸に上がるが大きな岩をいくつか越えた所で行く手にさらに大きな岩が壁になっており、改めて遡行図を見るとこの滝は見物だけで、ルートとしては登山道に戻りケヤキ平まで行くらしい。

源助滝

沢をしばらく戻って登山道を探すが、結局一度は先ほどの所に出てしまいそこから稜線に向かってすこし樹林を登ると、登山道に出た。しばらく作業道に毛が生えたような野趣あふれる?登山道を行き1本枝沢を渡った先で岸伝いには鉄梯子で道が続いているが半分腐ったような木の橋を伝って再び沢へ降りる。ここからはそれほど変化は無いが、最初は2日目のためケヤキ平より上まで行けたら行こうと話していたが、なかなか着かず先に行く気力が少し無せるくらいの時間になってやっとケヤキ平に出た。時間も程ほどと言う事で今日の泊りはここに即決定。

釜を泳ぐ村上

早速これも途中調達した大きなタープ(ブルーシート)を張り、食事の準備、焚き火の枝集めをする。苦労の末焚き火に火が点く頃ようやく薄暗くなってきた。今日はほとんど水に濡れず遡行中それほど寒さを感じる事は無く、陽が落ちてからも焚き火近くにあたると暑く感じる程だった。ビールで乾杯後、岩田さんのスルメをあぶりながら、蛍雪定番の豚キムチと鍋をつついて至福のひととき

ケヤキ平
洗濯物を写さないで!

朝が早かったので村上さん、岩田さんの順に撃沈して行く中、集めた焚き火をほぼ燃やし尽くし、皆でそろそろタープへ移動して寝ようかとした時、川辺さんが蛍を発見。何故か地面の上で光っている。それを耳にした岩田さん、それは幼虫だ!と言うのですぐ脇を通っている登山道へわらわらと皆で見に行くと確かに地面の落ち葉のかげで光っていたのは幼虫だった。「サナギも光るんやで」と岩田さん。「いやーええもん見たなぁ」と既に一人タープに入って眠り込んでいた村上さん以外は満足して就寝。涼しく快適な夜、の筈だった…。
[コースタイム]
子ノ泊山登山口12:30/13:00〜源助滝手前の5m滝14:00〜登山道に戻る14:30〜沢に戻って遡行再開15:00〜ケヤキ平15:45

焚き火と酒と・・・。
この世の天国全員集合

9月24日 くもり時々晴れ
二日目5時起床の目覚ましが鳴っても誰も起きない。少し薄明るくなった頃誰とも無しに起床。柳瀬さんの様子がおかしい。虫に刺されて目の辺りがはれている。そう言えば寝ている時手の甲や指、すね、額と所構わずかゆかったが…。鋼鉄の皮膚を持つ岩田さん以外は皆刺されて小さな赤い点がぽちぽちと点いている。蚊取り線香の効き目にも限界があったようだ。柳瀬さんのいれてくれたチャイで気を取り直して大量うどんを皆で平らげ出発。朝のためか昨日よりは少し曇っているようだが天気はおおむね良好そうだ。程なく屏風滝の掛かる沢へと分かれる二股。屏風滝の見物は省略してやや進むとすぐに牛鬼滝へ。水が直接滝壷に落ちずにほぼ垂直の岩壁に水しぶきを上げながら末広がりになって落ちている。

二俣上のナメ滝
牛鬼滝

これを右に巻くとインターネットの遡行図では中華ナベの淵と書かれていたのでどんなのかと思っていたら、外国のバスタブをひとまわり大きくしたくらいの確かにきれいなすり鉢状の淵だ。今日も気温はそれほど低くない。おあつらえ向きの滑り台からナベに向かって何度も水に浸かって楽しんだ。ここで村上さんの分析「これが蛍雪の沢のコースタイムが長い理由や…!」

中華鍋の釜
中華鍋を滑る谷岡

ここから1間先の角を曲がる度にとでも言いたくなるように立派な滝が息付く暇もなく連続して現れた。その最初の50m滝。右岸左岸共に巻ける様だったが、今回行った左岸の立った川岸を潅木を頼ってのトラバースは中々いやな感じだった。少し慣れてない人がいる時にはフィックスを張った方がいいかも知れない、と他の記録にもあったがそう思った。その後巻きからナメっぽい滝の落ち口に降りる場所で一箇所ザイルをフィックスしてヌンチャクをかけて降りた。

30m滝
.30m滝上のトラバース

その先の50m滝は右岸の巻き道が小さな陵線をたどり、丁度登ってきた谷を見下ろす事ができ、熊野川まで見える風景としばしナイフリッジの陵線歩きを楽しんだ。また沢に戻りしばらく行くとぼろぼろのプレハブの植林小屋に出た。半ばナメ床の上に石垣を作って立てた小屋だが、ビンや使っていた荷物が捨て置いたままになっている。

50m滝
ヤセ尾根を見上げる

これを越えしばらく変化のない沢が続く。しかし先には1000mのナメが待っている。我慢強く沢歩きを続け、いよいよ水のないガレた支谷を左に見送ったすぐに、今回のメインお待ちかねのナメが見えてきた。想像よりは少し傾斜があり、入口に当る斜瀑からそのまま続く滑り台のような川床をひたすら登って行く。途中やや傾斜が緩くなってきた。

荒れ果てた植林小屋
1000mナメの始まり

しかし土の積もる事の無かった岩盤が剥き出しの風景が続くほど、両岸の普通の景色とのギャップもあいまって不思議になってくる。枝沢(これもナメ)を2回左にとってナメの尽きた先で左の稜線に取り付く。すぐにびっくりするほど広い林道に出くわす。これを辿りT時に合流した道を左に行き少し登ると小さなコルへ。ここを右に登ったところが子ノ泊山だった。気持ちのいい風が吹き渡る頂上で見下ろす海岸線には白い波頭までが見える様だった。

延々と続くナメ
ナメを見下ろす

記念写真も撮り終え、下山。ほぼ全て沢伝いに付いている登山道で迷っている記録が多い事もあり、あのナメを下降に使う事にして、もと来た道を戻り無事ナメに到着。あの傾斜を下るのかと思っていたが難なくクリアし植林小屋へ。ここからは登山道を辿って山頂からあわせて2時間の下りと言う情報だったが、登山道が尾根に上がるあたりまであったテープが無くなり、もともとほとんど作業道のような登山道を見失ってしまう。ケヤキ平に流れ込む枝沢沿いに登山道が付いていると言うことなのでこの枝沢目指して植林された尾根を下る。

子ノ泊山山頂

所々で作業道?獣道?のようなものがあるが続かない。やがて無事枝沢に突き当たり、下りの際に履き替えたのをまた沢靴にもどさなくてもいいような小さな沢で二重にホッとする。しばらく下るうちにやがてテープも出て来てどうやら登山道に戻ったらしい。ようやくケヤキ平に着きひと息入れる。 ここからは一度たどった登山道を下るのでもう安心だ。時々腐りかけの木橋に肝を少し冷やしながら降り始めてすぐ2人パーティが休憩していた。岩田さんが話し掛け、後で聞くと地元の人らしく登山道で迷った話をしたら判りにくいでしょう、と言っておられたとか。今回会ったのはこの方達だけだった。最後まで頂上にあった山名の看板の立派さとはアンバランスないかにも山道らしい登山道を辿って登山口に到着。和歌山ナンバーの車が泊まっていた。帰りにわたらせ温泉で汗を流し、また長い道のりを大阪へ。
[コースタイム]
ケヤキ平7:10〜二俣7:25〜牛鬼滝落ち口7:50〜そのすぐ上の50m滝8:05〜痩せ尾根を越えた先の5m滝落ち口9:30〜植林小屋9:45〜二俣10:20〜1000mのナメ10:25〜尾根に取り付く11:00〜登山道11:05〜子ノ泊山11:15/11:35〜沢へ戻る11:45〜ガレた支谷12:00〜植林小屋12:25〜ケヤキ平に至る枝沢13:30〜ケヤキ平14:10/14:30〜登山口15:30

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