チンネ登攀
2004年8月11日〜12日
メンバー: 岩田・村上・柳瀬

8月11日
室堂から雷鳥平のキャンプ場を過ぎ、AB隊の5人で寝ぼけ眼で、剱沢を目指します。カンカン照りのよい天気でなんだかのんびりとした歩きです。(今から思えばこの時が一番のんびりしていた)剱沢BCについたのですが、あまりに雪が少なく雪訓をする気力が湧いてきません。1時間ほど昼寝をした後、会長の「雪訓やるぞ!」のお声でよろよろと雪渓に向かいます。しかしながらいつも元気な秋田さんがこの時に限って暑さ+眠さ=体調不良でダウンしてしまい4人でやることになりました。雪が少ないため滑落停止はカットし雪渓でのトラバース歩行、登り、くだり、ステップカット歩行、グリセード歩行をみっちり1時間半程やりました。滑って転ぶと岩田さんの「はい、もう1回」という声がかかるので真剱です。雪渓を走ってくだる練習ではタイムを競いましたがお約束のように村上はおむすびころりんをしてしまいました。
その日の夜は焼肉をたんまり頂き、(大変美味でした)明日の登はんにそなえました。

雪上訓練
グリセード

8月12日
3時起床。今日は剱沢B.C.→長次郎雪渓の登り→八つ峰Dフェース富山大ルート→八つ峰上半部の縦走→三の窓でのビバークと長い1日です。
4時半に出発し長次郎雪渓を登る。軽アイゼンが登りはよくきき歩きやすい。まもなく富山大ルートの取り付きに着くが豊川山岳会(あの鷲見さんの所属している会です。)の3パーティが先行して登っており人気ルートであることがうかがわせます。登りたくても登れず順番を待つこととする。

富山大1P目を登る岩田
富山大5P目の柳瀬
富山大6P目の村上

岩田さんが1ピッチをリードしたのだが、全く先行パーティが動かず、更に悪いことにビレイ点が日が差さず、寒い。震えながら待つがどうやら先行パーティがルートを間違え固まっているようです。その間にも先行Pがヌンチャク、ATC,手荷物等を落石ならぬ上からぼとぼと落とし、親切な我々は拾ってあげました。1ピッチ目はまだ体が重く岩田さんも「重量挙げみたいやなあ」と言いながら登っていました。問題の3ピッチ目は先行Pは左へ抜けたようであるが、岩田さんはこまかいフェースを右に少しトラバースしてから直上する。この辺りの岩田さんの岩場でのルートファィンディングはさすがの一言に尽きる。
4ピッチ目は斜上バンドを左に上がりリッジに出た。5ピッチ目は村上が今回始めてリードした。ラストの6ピッチ目は柳瀬さんがリードしてDフェースの頭に着いた。ここで硬い握手です。さてここで終わりと思いきや、八つ峰主稜の縦走がある、六峰から三の窓側へ30Mほど懸垂下降したのを皮切りに七峰、八峰と何度懸垂下降をしたことだろう。八つ峰の登りでは一部道を間違え、岩場、ハイマツ共にもろい所を登ったのだが、村上がリード中に足場の岩場が抜け落石となりびびった。あれがセカンドにぶつかっていたら? と思うとおそろしい。
ラストは岩田さんにリードしてもらい八つ峰の頭についた後、池ノ谷乗越に夕暮れについた。やれやれ。池ノ谷ガリーを石を蹴飛ばしながら降りやっとの思いで三の窓についたのはもう18時を過ぎていた。三の窓は2回目だが本当によいところである。夕暮れ時に雲海が押し寄せ日が落ちると満天の星と共に富山市の明かりが暗闇の中に見える。本当にきれいなところである。以前きた時は夜の漁火もきれいに見えたが今回は残念ながらそれは見えなかった。我々はほぼ稜線直下の鞍部にツエルトを張った。この小さなツエルトで3人寝るのも初めての経験であった。しかし・・・待てど暮らせどC隊(飯窪さん、谷岡さん)は来ず、大変心配であった。C隊は剱岳から池ノ谷ガリーまでのどこかでビバークしているのか? 熊の岩か? はたまた剱沢か? 全く連絡が取れず、やきもきした。C隊と合流できなかったのが唯一心残りであったが本日14時間行動し疲れきって眠りに落ちた。明日はすばらしい朝焼けが見られるだろう。剱のすばらしさを実感できるだろうと感じながら・・・・

夕暮れの三ノ窓
朝の三ノ窓
左稜線を見上げる

 

T5手前
核心部の岩田
左稜線上部の柳瀬

最終ピッチをリードする村上
最終ピッチの柳瀬

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