マッターホルン登山

2012725日〜26
メンバー:岩田・ヤナピー

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孤高の山 マッターホルン(4478m)。その姿はあまりにも美しい。

岩田は24才の時に一度登頂しているが、再度あの頂上に、また相棒のヤナピーにも登ってもらいたくて計画してみた。昔の記憶では下部岸壁は少し迷ったがそれ以外に大きく迷った記憶がなく、下降も頂上からヘルンリヒュッテまで4時間ぐらいで降りたと思う(懸垂下降以外はソロのクライムダウン)。ヤナピーには「簡単やから行ける、行ける」と話して、山に向かったがその記憶は36年前のこと、実際とはえらい違いがあり我々は約4200mで退却を余儀なくされた。下降開始はAM10時20分と、ちと早い気もしたが上に進んでもFIXロープでのすれ違い(登頂パーテイが下山してくる)による渋滞で、登頂時間は大幅に遅くなることを考え下降することにした。しかしこの下降が正解?で、ヘルンリヒュッテに辿り着いたのが18時、この日の最後のパーテイが我々であった。こちらではソルヴェイヒュッテまで3時間で到達しなければならないという基準がある、この3時間という理由だが、体力・技術的な問題もあるが、上部岩壁帯のFIXロープで登下降者が鉢合わせになり渋滞を起こす理由にもなるので、それを避けるための時間かなとも思う。登ってみてまずガイド登山とガイドレス登山との違いに大きな戸惑いを感じた。 一番の違いはスピード。ガイドはその強靭な体力で簡単な岩場であればコンテでどんどん登って行く。下降はゲストをロワーダウンで先に降ろし、自分は素早くクライミングダウンする方法を使っていた。スタッカットとラッペリングの回数が我々とでは大きな違いがあり、その差がスピードの違いに大きくあらわれたと思う。コンテもガイドはループを手に持った従来からの方法でゲストのスリップを止めていたが、岩田はその方法では自信は無いので大阪方式を使用した。大阪方式は非常に有効であったがループ方式(仮称)と比べるとどうしても時間は掛かってしまう。しかし安全を優先して慣れている方法を使った。それと前のパーテイに追い付いたら、同じ支点を使ってでも横を追い越して行く厚かましさ?も必要である。マッターホルンを登るには技術的に難しい箇所は無いので、体力とそれなりの登攀技術(登るだけではなく、下降技術の方が大事)がありコンテを安全に使え、追い越しの要領がわかればガイドと同じように登れると思う・・・ただしルートに迷わなければ。  

7
25日 晴れ
ツエルマット(
09:00)〜シュヴァルツゼー(10:0010:45)〜ヘルンリヒュッテ(13:00)  
今日はヘルンリヒュッテまでなので、アパートをゆっくり出発し、シュヴァルツゼーの礼拝堂で登山の安全をお祈り(・・・アーメン)してヘルンリを目指す。

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シュワルツゼーの小さな礼拝堂に、登山の安全をお祈りして出発する

C:\Users\iwata\Desktop\ヨーロッパ\写真\ツエルマット\マッターホルン\IMGP1888.JPG ベースとなるヘルンリヒュッテ(3260m)

ヒュッテは昔、右側の建物(左側はホテル)に泊まったが現在は左側が小屋になっている ようだ。
チェックインは15時なので明日の偵察に行くことにする。取付きから30分ぐらい上がった岩場が始まる所まで行きケルンを積んで引き返すが傾斜の緩い所には踏み跡が至る所にあり、明日は苦労するなと思った。
ヒュッテに戻りチェックイン。我々だけパスポートを預けさされる。
(ユーロ圏内から来た人は預けなくても良いみたいだ) 小屋は登山者で満員状態。明日は何人が山頂を目指すのであろうか? その内日本人は78人居り、みなさんガイド登山であった。19時から食事、21時に毛布を被る。  

7
26日 晴れ
ヒュッテ(04:10)〜ソルヴェイヒュッテ(09:00)〜4200m地点(10:20)〜 ソルヴェイヒュッテ(11:3011:50)〜ヘルンリヒュッテ(18:0018:40) 〜シュヴァルツゼー(20:3020:45)〜ツエルマット(23:15)  

深夜3時に起床しハーネスを着けて食堂へ行く、朝食は330分からでパン・チーズ・コーヒーを腹いっぱい流し込む。小屋からは350分以降でないと出発出来ないルールになっているのでガイド達は入口で順番待ちである。時間になると一斉に取付きを目指して走るように飛び出して行く。

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固定ロープがある岩場からヘッドランプを点けて登攀開始する

圧倒され、我々はラストから5〜6番目で岩場に取付く。しばらくは先行パーテイの後をくっついて行ったが、ちょっと目を離したら離れてしまう。小さな踏み跡の迷いが何度もあり、その間に先行パーテイは居なくなってしまい、後続のパーテイにも抜かされてしまった。東壁側にトラバースするはっきりとした踏み跡があるので進むと、行けないこともないけど簡単ではなく、踏み跡もあるようでないようでというような岩場になり(こういうことが何度もある)、これで大きく時間をロス、道迷いだけで1〜2時間余分に掛かってし まった。反省! 明るくなって来てルートも分かり易くなってきたので先を急ぐ。ガイドレスのドイツ人パーテイと右や左やと言いながら登る。

C:\Users\iwata\Desktop\ヨーロッパ\写真\ツエルマット\マッターホルン\IMGP1927.JPG 上部ツルム、左上にソルヴェイヒュッテがある

モズレイスラブは容易(3級)であるがやや本格的な登攀、ランニングを取りながら登るとソルヴェイヒュッテに着く。ホッと一息付ける場所であるがゆっくりしている場合ではない、アイゼンをつけて左手の壁を登る。しかし登頂を終えたパーテイがどんどん降りて来て、FIXロープの箇所で鉢合わせ、日仏友好協定?で譲っていたら一歩も登れないので強引に登るも下山パーテイは多く登攀スピードは遅くなる一方である。すれ違うガイドは降りるように勧める。時間は10時20分、頂上までは後2時間ぐらいか・・・?

C:\Users\iwata\Desktop\ヨーロッパ\写真\ツエルマット\マッターホルン\IMGP1930.JPG 上部のFIXロープで下山を決める

下山するには日本流では早い時間であるが、下降での道迷いは必至?であろうと考え下山することに決める。(ガイドパーテイの後について行けば迷うことも無いであろうと、安易な考えもあった)下降を始めるが、ここでもどんどん抜かされる。我々がスタッカットで確保しながら降りている所を、ロワーダウンでゲストを降ろしガイドはササッとクライムダウンして行く。我々もその方法で降りるも技術、慣れの違いかスピードが違う。      

C:\Users\iwata\Desktop\ヨーロッパ\写真\ツエルマット\マッターホルン\IMGP1931.JPG ソルヴェイヒュッテ上の下降

ソルヴェイヒュッテに着くと、3人のフランス人が器具の修理に来ており、ヘリがやって来たかなと思ったら、3人同時にピックアップされてあっという間に飛んで行った。羨ましい限りである。

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ソルヴェイヒュッテとその内部 ソーラーパネルが設置されている

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鉄棒にロープを巻きつけてロワーダウンする モズレースラブのラッペリング   ヘルンリヒュッテがやっと見えて来たが、いつの間にかガイドパーテイは先に降りてしまい、又ドイツ人パーテイと我々だけになってしまった。 最後まで気を抜かないように「集中!」と、ヤナピーと気合を入れ合いながら下降する。

C:\Users\iwata\Desktop\ヨーロッパ\写真\ツエルマット\マッターホルン\IMGP1947.JPG C:\Users\iwata\Desktop\ヨーロッパ\写真\ツエルマット\マッターホルン\IMGP1951.JPG

ヘルンリヒュッテが見えて来た 下降して来たルートを振り返るも?

C:\Users\iwata\Desktop\ヨーロッパ\写真\ツエルマット\マッターホルン\IMGP1948.JPG 中央がヘルンリヒュッテ

取付きの岩場を下りて、ロープを解くと一度に緊張がほぐれ、疲れと疲労と過労が岩田はドッと出てきたが、ヤナピーは元気であった・・・。
まだあります。
ヒュッテに着いてパスポートを受け取ると、ヤナピーは「ツエルマットまで降りよう」と言う。岩田はヒュッテで泊まりたかったが逆らえない。ワインを飲んでいる登山者を横目に見て歩き出す。シュヴァルツゼーではホテルの灯りだけが点いてロープウェイは止まっている。宿泊者は美味しい料理を食べているんやろうなあと想像しながら、ツエルマットへのハイキング道を降りる。
昼間であれば高山植物で楽しい道も、今はひざ痛でひょこひょこ歩くしかない。途中の村を通過する頃には陽もとっぷり落ちてヘッドランプを出す。
やっとツエルマットの町に着いたが、店はみんな閉まっておりビールも飲めない。最後の気力を振り絞ってアパートに着いたのは23時15分、本日の下降標高差は4200m―1600m=2600mでした。