2006年冬山合宿: 新越尾根〜岩小屋沢岳〜爺ヶ岳〜赤岩尾
日時: 2006年12月30日〜2007年1月2日
メンバー: (L)新谷、谷岡、吉田

12月30日 雪のち晴れ
糸魚川から大糸線を経由して信濃大町に向かう。雪が降っているが、小谷でも白馬でも雪は少ない。信濃大町ではほとんど晴れていた。後立山の下部は雪が少なく黒々している。新越尾根下部の藪は埋まっているか心配になってくる。
日向山ゲートでは車が5〜6台停まっていた。ほとんどが爺ヶ岳南尾根に向かう人のもののようだ。単調な車道歩き2時間で扇沢に着く。新谷は今年5回目の扇沢。
扇沢からわかんを付け、うっすら残るトレースを辿り新越尾根の取り付きに着いた。
新越尾根は28〜29日の寒波で積もった雪がしまっておらず、思っていたよりラッセルがきつい。夜行による寝不足もこたえるので、2時間半ほど登った樹林帯で行動打ち切り。
このペースでは明日中に後立山の稜線に出られないかもしれない。谷岡さんも吉田さんも、藪尾根のラッセルは不慣れなようで、若干不安。
[コースタイム]
日向山ゲート発9:10〜扇沢11:00〜12:10取り付き〜14:50新越尾根1720mテントサイト

12月31日 晴れ
天気は良い。一日中トップを空荷にしてのラッセルを続ける。途中カモシカのトレースが現れ、その部分はラッセルが楽になる。結局、新越尾根を抜けられなかった。
[コースタイム]
7:05新越尾根1720mテントサイト〜15:20新越尾根2360mテントサイト

新越尾根下部のラッセル 31日テントサイトの整地

1月1日 晴れ
今日も天気が良い。厳冬期の後立山とは思えない。日の出を背後に約1時間のラッセルでようやく新越尾根を抜け、ラッセルから開放される。稜線上はとても景色が良かった。新谷は初めて厳冬期の剱と黒部別山東面を見たので感激だった。

初日の出 新越尾根上部のラッセル

11月に登った大タテガビン沢も見れた。アイゼンに履き替え、景色を楽しみながらのんびり歩く。人気の無い、広大な稜線を歩くのは快適だった。吹雪いたら悲惨だったろうが…。爺ヶ岳中央峰で休んでいると、東尾根から3人パーティが登ってくる。入山以来、初めて他パーティに会う。東尾根の途中にテントを張ってのアタックらしい。そのパーティは山頂に着くなり缶チューハイを飲みだし、さらにザックの中から2リットルくらいのウィスキーを取り出し、1杯やっている豪快なパーティだった。帰りに酔って滑落しないでね。

剱岳をバックに爺ヶ岳に登る 爺ヶ岳中峰

爺ヶ岳から先は、これまでの人気の無さとは一転し縦走者が多い。犬を連れている人もいた。途中、赤岩尾根の様子を偵察。意外にもトレースが無い。雪の状態は余り安定していないが、積雪は少なく夏道通りのトラバースも可能だと思った。冷池でテントを張る。
[コースタイム]
6:50新越尾根2360mテントサイト〜8:10主稜線に出る〜9:05岩小屋沢岳〜12:50爺ヶ岳中央峰〜14:40冷池

鹿島槍ヶ岳 元日夜のテントサイト

1月2日 雪
さすがに4日間も好天は続かず雪が降っている。しかし、冬型の雪ではなく低気圧の雪なので大した降りかたではない。鹿島槍ヶ岳も往復出来そうだが、天気が悪いのとモチベーションが乗らないので赤岩尾根を下ることにする。
出発準備が早く終ったので、谷岡さんと吉田さんを残して先に出発。冷乗越で下降路の様子を観察する。しかし、思っていたより視界が悪く、昨日見つけておいた雪庇の切れ目や、トラバース先の赤旗が確認できない。少しではあるが新雪も昨夜積もっているので、面倒だがセオリー通り赤岩尾根の頭まで一度登って降りることにする。他パーティは全てノーザイルで下降していたが、滑落したら99%雪崩を誘発し北俣本谷の藻屑となり死ねる場所なので、パーティの実力を考慮し尾根に入るまでの3ピッチはザイルを出して降りた。雪は多かったが、状態は安定していた。一番に冷池を出たのに、FIXしている間に最後尾になる。まぁ仕方ない、安全にはかえられない。
尾根に入ってからも、細い雪稜やクライムダウンを要する下りがある。大量の降雪直後は困難だろう。あんまり初心者向きの尾根とは思えないのに、ガイドブックでよく紹介されているのが不思議だ。だから事故も多い。
先行パーティの付けたトレースを辿り、大谷原到着。合宿は終了した。
[コースタイム]
冷池6:50〜7:30赤岩尾根の頭〜9:35高千穂平〜11:40西俣出合〜12:35大谷原

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