烏帽子岳

日時: 2013年4月27日〜28日
メンバー: 谷岡、川辺、藤井、柴谷

・予定: 高瀬ダム〜ブナ立尾根〜烏帽子岳〜不動岳〜船窪岳〜七倉ダム
・結果: 高瀬ダム〜烏帽子岳直下〜高瀬ダム

4月27日(土) 小雪のち曇り
七倉が近づくと路面は薄ら雪化粧、小雪降る中、七倉駐車場は10cmの積雪。
6時前に登山指導所が開き、係員曰く、扇沢は20cmの積雪、上はかなりの積雪が予想されると。また、槍穂高は晴れるが以北は明日も雲に覆われるだろうとの事。
GW初日の為か、地元新聞社と県観光協会が我々の出発準備を写真撮影、他に入山者無し。駐車場から高瀬ダム上部までタクシーで約15分。
一面の雪原から頭を出したブナ立尾根への案内板に従い、夏道取付へ。最初はその在処が確認できたが、1時間ほどで完全に埋もれてしまい、時々見えていたピンクテープも見失い、明瞭な尾根筋を膝程度のラッセルで上へ上へ、2,208mの小ピークで夏道と合流(No.7の目印あり)。
この辺りから徐々に積雪量が増えてきて、時折強風で粉雪が流れる。GWの雪は珍しくないが、かなり乾いた真冬の様な雪質、傾斜も強くなり膝上のラッセルが続き、懸命に交代でラッセルを行うが、標高差100mを稼ぐのに1時間かかるペースに落ちてしまう。
休んでいると、元気の良い単独行者が「ラッセルありがとうございます」と言って我々を追い抜いて行った。
登山指導所で、ブナ立尾根は急だ、胸突き八丁ではなく鼻突き八丁があると言っていた。
川辺君曰く、ブナ立尾根は日本三大急登の一つだそうで(剣岳/早月尾根、烏帽子岳/ブナ立尾根、燕岳/合戦尾根)、2,300mを超えた辺りで確かに鼻突き八丁、深い場所では1mほど新雪が積もっており、ラッセルのトップは顔面に雪が来る(春はワカンは要らないと言い切ったのは監督)。ここで単独行者がワカンの準備、聞くと野口五郎岳を抜けて湯俣へ降りるらしく、烏帽子小屋からは我々とは逆方向。
2,400mを超えた辺りで雪も止み、風も治まり、青空が見え始めた。上を見上げると稜線らしきラインも見えてきた、雪崩れそうな斜面をダケカンバ沿いに胸突き八丁のラッセルで直登。30歩ずつのラッセル交代で休むことなく上を目指す、皆、日暮前に烏帽子小屋に入りたい一心で。

 
ブナ立尾根                     胸突き八丁

トップを終えて最後尾に回ると立ったまま1分ほど寝てから後を追う。
最後の標高差350mに、ほとんど休まずに4時間以上を要して稜線へ、烏帽子小屋の避雷針、 と思ったらただの避雷針で、小屋はそこから200mほど吹き溜まりを進んだところだった。
小屋は冬季一部解放されており、内部は非常に清潔、ゆっくりと荷物を広げて一息、谷岡さんの手料理を味わう(藤井君、水係ありがとう)。前夜は数時間の仮眠で、今日は11時間行動、久しぶりのアルプス雪山ラッセルは大変疲れたが、非常に楽しい1日でした。
(結局単独行者は小屋に現れませんでした)

[コースタイム]
起床(5:30) 高瀬ダム(7:15) ブナ立尾根取付/1,330m(7:50) 1,650m(10:00) No.7/2,208m(13:00) 2,300m(14:00) 烏帽子小屋/2550m(18:25)

4月28日(日)快晴
この先も吹き溜まりでは深いラッセルは確実なので、周回は無理と判断、烏帽子岳往復としてハーネスをつけて出発(烏帽子岳下降に備えて)。稜線から予定していた周回コースを望んで、2泊3日は無理な計画だった事を悟る。

  
烏帽子小屋                       針ノ木岳遠望

烏帽子岳分岐までの稜線上は、風で雪が付かずに夏道の出ているところが多く、快晴の展望を楽しみながらアッという間だった。ここで50周年旗を取り出して記念撮影。
さて烏帽子岳へ登るには、東の斜面は100m程度の急な雪面で、如何にもヤバい。そこで西側の雪稜に回り込んでみる事に。45度程度の斜面だが、掘ってみると約80cmの新雪の下から強風でカチカチになった層が出てきた、ここで烏帽子岳をあきらめて引き返す事に。
日本縦断コース上に1km程度の線だけ引く事ができました。

  
烏帽子岳をバックに                烏帽子岳直下(カメラ20度傾いてます)

昨日はフワフワだった雪が今朝はもう腐り始めていて、下り始めてすぐにアイゼンを外す。
斜面のトラバースでは新雪の下の固い層で滑ってしまい、2mほど流される人も。
昨日のトレースが不明瞭になってしまった箇所も多く、正しい尾根筋を外しかける事もあった。
No.7の目印まで戻ったところで考える、夏道を下るとトレースがないので、引返したであろう単独行者のワカンの跡を頼りに昨日のコースを戻る事にした。ところが昨日の顕著な尾根筋を 外してしまい、ふと見るとトレースにはくっきりと鹿(カモシカ?)の蹄の跡が・・・。
やむを得ず藪の増えてきた斜面を適当に下ると、眼下に吊り橋が見える、ブナ立尾根取付、濁沢にかかる吊り橋だ。最後は崩壊地の上部に出たので、トラバース気味に回り込んで夏道に戻る。ブナ立尾根取付まではそこからすぐだった。
取付に戻ってびっくり、昨日朝は一面の雪に覆われて標識だけが頭を出していたのに、一片の雪も残っていない。恐らくこの辺りは昨日午後から晴れ渡ったのだろう。高瀬ダム上部に戻るとちょうどタクシーが止まっていて(誰を待っていたのか不明)、待ち時間なく七倉駐車場に戻った。
葛温泉・高瀬館で烏帽子小屋利用代金(2,000円/人)を払って、露天風呂で疲れを癒す。

[コースタイム]
起床(6:00) 小屋発(7:50) 烏帽子岳分岐(8:40) 烏帽子岳直下(9:30) 烏帽子小屋(10:00-10:30) 高瀬ダム(16:00)

関西蛍雪山岳会トップページに戻る