香落渓 名張 クラッククライミング




日程:2019年4月27日~29日
メンバー:下里 神宅

これから本格的にクラックに取り組んでいきたいという気持ちと名張で合宿するというタイミングが重なり、自分が登れるサイズのカムを一部購入した。なかなかの出費となったが合宿を終えた今は清水の舞台から飛び降りて良かったと確信している。

27日:第一岩壁
僕は今回の合宿を通して第一岩壁にある「これなんですか」と「直登」をRPしたいと思っていた。そのことを下さんに伝えると初日に行ってもいいよということで第一岩壁へと向かった。この日はとても寒く、風も強かった。第一岩壁では僕がアップとして使える課題もなく、朝イチから「これなんですか」へ。ハンドサイズであるが、核心は名張では珍しいかぶったルートとなっている。初めから核心手前までは0.75~4くらいのサイズで体力を消耗しないように登る。核心になると少しかぶっているため、気持ちとしては早く抜けたくなるが慌てずにハンドサイズのところへカムをセットする。核心部で突然風が強く吹き体が動かされた時は焦ったが、手と足のジャミングが決まっていたので何とか対応できた。


これなんですか 10.a

抜け口もなかなかやらしく、気持ち悪かったが落ち着くように言い聞かせ、カムのセットをした。そのまま終了点へ着き、初めてRPできた。初日、さらに1本目から登れると思っていなかったので嬉しかった。次に、下さんが「高田屋」にトライをする。出だしの1~2 mがボルダーのようでかなり悪そうであった。下部の核心を越えてからもなかなか油断できないクライミングが続く。特にルーフを越えるところも試行錯誤しながら登るといった様子であった。乗り越えるところでは下さんの気合の声が聞こえた。


高田屋 11.a

下さんも無事にRPして、二人とも前回に来た時の宿題を回収できた。次に「直登」にトライした。核心のフィストが少しすかすかするのが気持ち悪い。何度も登る前にイメトレしたが核心で、もじもじしてしまい、体力がなくなりテンション。休憩がてら下さんが触ってみたいという「おじょーず」へ。こちらも出だしが非常に悪く、何度か次の一手を試みるがしっくりこなかったようでそのまま撤退。時間がまだ少しあるので僕が「直登」を再トライすることに。下さんからたくさんのアドバイスをもらい、後は素早く核心を抜けることを考えた。2つ目の4番のカムを少しだけ上に動かし、後はずりずり上がっていくと、手の届く位置にリップが見えたので落ち着いてとる。終了点まで上がった時はとても達成感があった。最後に下さんが「苔男」にトライしたが、かなり苦戦していた。この日は僕も下さんも初めてRPできたものがあり、充実した1日となった。

28日:屏風岩
朝5時起床で7時ごろ1番に取付く。昨日とは違い、ほぼ無風で気温もそこまで低くなく良い条件であった。アップがてらに「Crack Baby」を登る。少しプロテクションの取る場所が上手くいかず、反省。その隣にある「名張入門」にトップロープを張り、練習する。下さんも同じようにアップをする。トップロープで「名張入門」がまぁまぁ登れる感じであったのでリードでトライする。核心でずりずり落ちたりしたが、気合で何とか耐えて初RP。今日も初めてのRPができて良かった。次に下さんがこれまで何回もトライしている「ユビキタス」にトライ。


ユビキタス 11.b

内容に関して僕にはフィンガーサイズということしかわからなかったが、下から見るラインは綺麗で下さんが核心で叫びながら、流血しながら登り切ったことからその達成感は素晴らしいものだということが分かる。僕もいずれこんな風に強くなりたいと思う。その後、「ミニラ」に僕がトライしたが、苦手意識のあるワイドで1時間くらい踏ん張ったが体力尽きて、下さんに回収してもらった。屏風岩の左側に移動して「マシュマロマン」にトップロープを張ってもらった。結局「マシュマロマン」を二回登り、なかなか手応えがあったので明日はサニーサイドに行く予定であったが、朝イチで「マシュマロマン」を登るためだけに屏風岩に行かせてもらうことにした。この日も初めてのRPができ、良い合宿になりつつあるなと思った。

29日:サニーサイド(屏風岩)
7時に屏風岩に取付き、「マシュマロマン」を登る準備を行う。前日から気持ちは作っていたが緊張する。「マシュマロマン」を登るぞという意気込みを下さんと話していると、やる気まんまんマシュマロマンという言葉をもらった。核心の4番サイズのところではなかなかしんどいクライミングが続いたが、適度にレストしながら登ることができ朝イチで結果を残せた。疲労もありながらも3日目に結果を残せたことは嬉しかった。すぐにサニーサイドへと移動した。こちらは貸し切り状態であった。下さんが「Short Hope」にトライ。出だしの次くらいが悪く、0.3サイズくらいの厳しいクライミングが続く。何度か試みるも一旦休憩することに。僕は次に「ジュマンジ」をOSトライすることにした。これまでOSトライは一回だけあったが、持っていくカムなどもほぼ全部自分で考えるのは今回が初めてであった。初めの2 mくらいが少しやらしかったが慌てずに抜けることができた。中盤以降は「マシュマロマン」と似たような感じであったが、プロテクションが色々あってしんどいクライミングが続いた。何とか終了点にロープをかけたときは嬉しさが込み上げてきた。


ジュマンジ 10.a

下さんにも、(珍しく?)褒められて嬉しかった。もう一度、下さんが「Short Hope」にトライする。1回目よりもムーブが定まり、登れそうであったが核心後半くらいででテンション。とても惜しかった。下さんの休憩の間に僕が名張に来て初めて触った「むらさめ」を登らせてもらうことにした。「むらさめ」の記憶がただただ「クラックってやばい。」というイメージしかなく、気持ちとしてはOSトライに近いものがあった。カムも少し余分に持っていった。トライすると、なかなか快適で自分の成長を強く感じることができた。最後に下さんが、「Short Hope」にトライ。平成最後の締めくくりとなるかと実は期待していた。固めたムーブで核心をじわじわと越える。ハンドサイズのところにカムを決めたとき、息を吐くのが聞こえた。そこからも油断せず、これまでと同じムーブでRP。


Short Hope 10.c

ビレイ場所からも下さんの嬉しそうな顔が見られた。この日も二人とも成果をあげることができた。

今回の名張合宿は、ただひたすらにクラックと向き合うことができた3日間だった。お互いに毎日結果を残すことができたり、疑問点を教えてくれたりと、とても良い雰囲気の中クライミングに取り組めて改めてクライミングの楽しさを認識できた。幸い大阪から遠くないのでもっと通って上手くなりたいと青あざ、かさぶただらけで思う今日この頃…


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