海外クライミング遠征 ラオス・タケーク
日程: 2019年1月26日〜2月2日
メンバー: 望月(記)

年度末までに一週間ほどまとまった休みを取れることになったので海外でも行こうかと考えていたところ、丁度知り合いのクライマー井波さん(ご存知池田のカレー屋Ganesh店主)が、同じ時期に1ヶ月ほどラオスへ料理研修も兼ねて長期クライミング遠征に行くので、1月末から2月頭にかけて現地(ラオス・タケーク。メコン川を挟んでタイ国境に面した街)で合流する計画を立てた。

ラオスは初めてだったが、この時期は乾季で気候も良く、食事は美味しく人も柔らかくて物価も安い。普通に旅行してもかなり楽しめる国であり、海外クライミングバム生活に興味がある方に非常にお勧めできる。
今回行ったタケーク近郊のクライミングエリアにはすでに数百のルートが開拓されており、さらに年々ルートが増え続けている。(毎年のようにトポが改訂され非常にわかりやすい)グレーディングは日本ではあまり馴染みのないフレンチグレード。デシマル換算5.7程度から5.13台までまんべんなく揃っており、かつ、易しめのグレードでもスケールが大きくて楽しめるルートがたくさんある。(日本でよくあるように易しめのルートは岩場の端っこに短いアップ用しかないなんて事はない)
街から岩場まで、だいたい10kmくらい離れているが、現地滞在中は毎日、岩場までの往復の足(トラックの荷台に屋根と座席をつけた現地式乗合タクシー)はホテルのサービスで無料で利用できる。(宿代に含まれている)また、岩場のど真ん中にGCHと言うクライマー宿はあるが、雰囲気はアジアリゾートによくある西洋人村という感じで、ここに泊まると街から隔絶されてしまうのでラオス旅行も楽しみたいなら止した方がいいと思われる。(クライミングだけに集中したいならそれでも良いかもしれないが…)

エリア一帯は石灰岩の大きな峡谷で、日中はかなり暑いので、毎日午前と午後でエリアを移動して日陰になるエリアで登っていた。昼食は峡谷の真ん中にあるクライマー用ロッジ(宿泊可)に毎日立ち寄り、飯食ってビールも飲んで昼寝して、少し涼しくなった頃にクライミング再開という、まさにリゾートゲレンデである。こんなことばっかりやってたら山に行けなくなりそうだ。

費用は、関空―バンコク経由ナコンパノム往復 約5万円。現地での一週間生活費(宿代含まず)約2万円(バンコクの空港で両替したタイバーツ。ラオス国内でもタイバーツで支払い可能)。宿代は現地6泊 井波さんとシェアして一人当たり11,000円と非常に安くあげられた。(INTHIRA HOTEL THAKHEKに宿泊)なお現地では基本現金決済で、ホテルのみ事前にカード決済だった。
旅程は、大阪からターケークまで片道だいたい1日弱だった。関空〜バンコク間は深夜フライトが有り効率よく移動出来た。なお今回、バンコク往復とタイ国内線の両方ともエアアジア便を利用。チケットは全てエアアジアのスマホアプリから購入した。
(往路)
1/25夜発 関空―バンコク(ドンムアン空港)約6時間
エアアジア便ならばドンムアン空港行きのため乗り継ぎは楽。
1/26朝 明け方到着し4時間半のトランジット後、タイ国内線でバンコクーナコンパノム 約1.5時間→ナコンパノム市内へ移動→タケーク行き国際バス(所要1.5時間、途中ラオス国境(メコン川)を越える)→タケークのバスターミナルからはタクシーで15分ほどでツーリストエリア(メコン川沿いのホテル、レストラン等集まっているエリア)に到着。メコン川を隔ててタイ側とラオス側では町の雰囲気が全然違う。(正直ラオス側はゴミ処理などのインフラ整備がまだまだのようだ)

さすがに到着日はクライミングはせずに、井波さんとビールで乾杯してとりあえず昼寝。メコン川に沈む夕陽を見ながら、屋台で現地メシを楽しんだ。なおビールは現地銘柄のビアラオでほぼ一択だが、大瓶一本150円くらいでかなり旨い。料理もだいたい何食べても失敗はなく、腹も壊さなかった。

1/27(クライミング1日目)
初日は5c〜6b (5.9〜5.10c/d)を計6本登った。どのルートも取り付きにルート名が書かれており非常にわかりやすい。
午前中はButterfly areaで3本。傾斜は薄かぶり。
Papillon 5c 16m MOS まずは幸先良し
Pfauenauge 6a+ ×1テン ルーファイしくじる
Kea 6a MOS 快適なコルネ登り
ゲストハウスで優雅に昼食をとり、午後はRoof left side (エリア全体が超どっかぶり)へ移動。井波さんのトライする8aの超ロングルーフルートをビレイしながら、周りのエリアで登れそうなルートをトライ。
Full Metal Jacket 6a ×1テン どっかぶりガバ系
It’s a raining man. 6b MOS 薄かぶりカチ系
Honeymoon 5c. MOS ハング越えから快適なハンドジャム。
石灰岩だが、コルネが非常に発達しているのでフェイスの凹凸が多く、ジャミングやチムニー登りといった内面登攀系の小技がかなり使える。岩のフリクションも結構あって日本の石灰岩のツルツルのイメージからはだいぶ違う。また、岩場周辺には牛や山羊が放牧されている。す

1/28 (クライミング 2日目)
午前中は昨日と同じくbutterfly areaへ。
Blackbird 5c(5.9)MOS 易しいが長くて面白いルート。最後は予想以上にかぶっていて少し緊張。
Can’t is a bad word 6c(5.11a/b)二度トライしたが…結局 登れず。ムーブはなんとなくわかったが、ヨレまくってもう無理。GCHで遅い昼食をとり、疲れてたのでビールも飲んだため午後は一本だけになったが、これぞ石灰岩というようなどっかぶりを三次元ムーブで登る面白いルートだった。
Spielholle area : Slot machine 6b (5.10c/d)FL

1/29 (クライミング3日目)
早朝の涼しいうちにメコン川沿いを散歩。でもすぐ気温が上がり、結局終日暑かった。午前中は3日連続でbutterfly areaで過ごす。
Songbird 5c+(5.9)MOS 前日登ったBlackbird の隣。これも25mと長く、易しいが充実する。
Farfalla 6b (5.10c/d)FL 見るからにカッコいいライン。一撃できて満足。
昼からはRoof area へ移動。とはいえ午後は暑く、3日目で疲れてきてるのもあって周りのエリアのルートを見に行ったり休んだりで、半分レスト日のようになり、結局夕方に一本だけトライしておしまい。
Licht am ende des tunnels 6c+ (5.11b/c)ガバガバのどっかぶりから天井裏のトンネルを抜けて最後はルーフに終了点。高度感すごい。結局終了点手前で敗退したが、ルーフエリアのルートはヌンチャクが残置されててどこからでも敗退できるので割と気軽に取り付けるので助かる。(でないと回収が大変すぎる)
これでラオスクライミングの前半戦終了。毎日登って飲んで充実するが、疲れも溜まってきたようだ。

1/30 (クライミング4日目)
単に前日飲み過ぎたせいか疲れのせいか、朝は寝過ごすし、気温も高いこともありなんとなくモチベーションが上がらない。午前中はSpielholle area で3本(うち一本は途中敗退。悔しい)昼飯食べてゆっくり休んで午後は一本のみだった。
終了後は毎日恒例だが.メコン川に沈む夕陽を眺めながら、ビアラオで乾杯。アテに出てきたモツ焼きがなかなかビールに合い、またついつい飲み過ぎてしまった。

1/31 タケーク5日目
普通、海外遠征では2日登ったら1日はレスト入れるくらいのペースで登るのがセオリーらしいが、今回は滞在できる日数が少ないので井波さんにも無理言ってレスト無しでここまできてしまった。フリーを連続5日間も登り続けるのは自分としても未経験で疲れてはきたが、こちらでの生活リズムに身体が馴染んできて調子そのものは悪くない。
5日目は午前中は2本、ランチして涼しくなるまで昼寝してから午後に1本とトライ数は抑えめだったが、午前は35mのロングルート(Nubbel 6b+、全身入れるチムニーからスタートして上部はどっかぶりだがガバが続く楽しいルート)をマスターオンサイトでき、午後は2日前にトライした6c+(Licht am ende des tunnels)をレッドポイント(二撃)、これが結果的に今回ツアー最高グレードと成果があったので、自分的にかなり満足。どちらのルートも多分人とはムーブが全然違うような気がするが、ジャミングやチムニー登りといった内面登攀系の小技を駆使し(全身傷だらけになりながら)登った…

2/1 タケーク6日目
気がつけば今回遠征の最終日。5c〜6a+あたりを計4本トライ。みなグレードはほどほどでも楽しめるラインで充実した。最終日まで6日間は天気も良く、休みなしで登り続けることができた。
最終日夜はナイトマーケットでラオス風タイスキ?と言った雰囲気の鍋料理で締めたが、これだけでなく、幸いなことにこの国で食べたもので今までハズレはほぼなく、クライミングどうこうは抜きにしても、メコン川を眺めながら屋台でビアラオ飲んで適当にアテをつまむだけでも十分幸せになれた。心身ともにゆるい生活リズムに慣れてしまった後、真冬の日本で社会復帰するのが大変不安だったが結構どうにかなるものだという事も分かったし、またぜひラオスへクライミングトリップへ行きたいと思う。












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