奥穂南稜

日  程:2018年10月6-8日
メンバー:前田、野木、柴谷
槍ヶ岳西稜か奥穂南稜か、台風25号が近づいており、その両睨みで前夜大阪を出発。

<10/6> 上高地(0630)-岳沢(0900)-南稜取付(1030)-畳岩取付付近(1500)-岳沢(1600)
沢渡で槍ヶ岳西稜は断念、上高地バスターミナルにて、午後から明日にかけて崩れると判断し、明朝の天気次第で奥穂南稜もしくは畳岩どちらかにすると決めて、岳沢に向かう。
岳沢周辺の紅葉は綺麗だが、稜線は雲に覆われており、台風襲来直前なので、岳沢テン場には4張だけ。
強風に備えてテントをしっかりと固定、まずは奥穂南稜の取付まで偵察に出る。
10月と言う時期もあるが、全く雪渓は残っておらず、想定のシュルンドを降りる事もなく、南稜取付を確認。

テン場に戻って、今度は畳岩の取付まで偵察に出る。持参したルート写真と見比べるが、畳岩の取付が良く分からず、小雨が降り出したので、取付確認できぬままにテン場に戻る。
テン場に戻ると雨もやみ、薄日も差してきて、3名思い思いに昼寝タイム。
17時になったので、テントの外で夕食とし、翌日4時起床を決めて19時には就寝。

夜半、風雨が強くなり、台風が最接近しているのだろう、ゴーゴーと風の音が鳴り止まないが、灌木に守られてテントが飛ばされそうな心配はない。

<10/7> 岳沢(0715)-南稜取付(0815)-三俣(1000)-奥穂山頂(1530)-白出のコル(1640)-涸沢(1810)
目が覚めると5時半、テントから顔を出すと、南稜取付すぐ右手の垂壁が大滝状態になっているのが見える。
これは無理、あきらめもついたと、二度寝する。
6時過ぎに起きて外を見ると、雲は垂れこめているが、雨も止んでおり、大滝状態だった水量も少しは減ってきており、奥穂南稜へ向かう事とした。

南稜末端に到着する頃には低い雲も少し上がり、岳沢が見下ろせて、垂壁から落ちる水量も更に減少。
まずはガレ場登り、「では前ちゃん」「ほんまかいな」と、大きなザックを背負った前ちゃんからスタート。
数10m登った垂壁の下でザイルを出して、前ちゃんリード、重たいザックを背負った野木さんが続く。
更に1ピッチザイルを伸ばした後は、柴谷先頭で3名が思い思いにルンゼを登ってゆく。

三俣では中央のルンゼを選択、突き当りを右に回り込んで、そこからは稜線沿いとなるが、周りはガスで何も見えず、岩とハイマツとが混じった踏跡を辿るが、トリコニーまで結構遠い。
トリコニー第1峰辺りで1度ザイルを出し、柴谷リードで簡単な岩稜を進む。
ようやく第3峰を横手に見る頃には、前ちゃんは亀の歩みでヘロヘロ。
吊尾根迄もう少しだろうと思える頃、一瞬ガスが晴れて前穂山頂が頭を出した。
そして吊尾根に合流した時には、ガスも取れて前穂北尾根やジャンダルムが秀麗な姿を見せてくれた。
奥穂山頂で登攀具を外し、白出のコルを経由してザイテングラードを涸沢へ向かう。
途中で日も暮れて、ヘドランを付けて涸沢到着、11時間行動お疲れ様でした。

涸沢小屋へ届を出しに行くと、今日は700張あるそうで、空き地探し~テント設営で1時間を要した。
皆疲れてお酒もソコソコに就寝、運良く私の場所は問題なかったが、二人は岩の突起で寝辛かったらしい。

<10/8> 涸沢(0620)-横尾(0810)-河童橋(1030)
昨夕ちょっと挫いた前ちゃんの足首の調子も良さそう、荷物持つよと言っても持たせてくれない野木さんのザック重量は私の1.5倍はありそう。
涸沢周辺の紅葉はまだ少し早いが、本谷橋~横尾間は今が紅葉/黄葉真っ盛り。
快晴となった青空との対比がとても綺麗で、右岩壁から正面壁へと刻々と顔を変える屏風岩を眺めながら、 「昔はあんなとこを登ったんだなあ」とか思いながら、横尾までの散策を楽しむ。

横尾からは野木さんエンジン全開、前ちゃんと二人、「もうダメ」と思いながら必死について行く。
徳澤園で少し休んで、またフル回転、明神ではワンストップで、河童橋まで2時間ちょっとで着きました。
おかげで11:00発のバスに余裕で乗れて、感謝する野郎2人でした。

私にとっては20数年振りの奥穂周辺、涸沢小屋が巨大になっていた事や、自販機まである事にはビックリでしたが、懐かしい景色も堪能できたとても楽しい3日間でした。


10/6の奥穂南稜下部 


2ピッチ目


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