2017年度春合宿 燕岳~蝶ヶ岳縦走

日程: 2017年5月3日~6日
メンバー: T.M(CL)、T.S(監督)、E.T(食担)、K.T(記録)

5/3(水)
前日に石橋近くのファミマで集合し、JR大糸線 穂高駅の近くの無料駐車場へ向かった。そこに到着し、3時間ほどの仮眠をとった。5:00頃には既に明るく、周りを見ると駐車場から燕や常念が少し見えた。下界は春を終え、夏への準備をしているのに目の前の山々は依然として冬の装いをしているように見えた。朝ごはんを食べ、手配したタクシーで登山口の中房温泉へ向かった。車に揺られながらT.Mさんと運転手の方が有明山についてお話されていた。話を聞いていると確かにその山容は良い、が近づくにつれて想像以上の険しさと勾配の具合でなかなか登りごたえのありそうなものだなと思った。ただ、北アルプスに来てまで登りたいかと言われると返事に困るものであった。中房温泉で団装の分配や各自の支度を初め、登り始めた。登り始めて15分くらいは下が土で、それからは土と固まった雪が続いた。1時間ほど歩くと雪だけになった。トレースで足元が掘れていたのでアイゼンは使わずに進んでいった。GWであり、さらにしばらく天気が良いという予報もあり登山客がたくさんいた。たくさんいたのでしばらくすると途切れ途切れではあるものの列ができ始めた。ペースはとても順調で、10時前に合戦小屋に着いた。この頃には暑いくらいで上は2枚だけしか着ていなかった。合戦小屋から燕山荘までは森林限界を越えた急登でしんどかったりするが、その分景色が広がり元気になる。南に伸びる明日の行程や大天井岳、北に少しずつ迫力と繊細さを見せる燕岳、餓鬼岳がその歩みを自然と止めさせる。また遠く北の方には戸隠や黒姫、妙高、火打、雨飾山などが並んで見え、まだ登ったことのない私には行きたい山が増えてしまった。とても気持ちの良い天気で休憩すると寝てしまいそうだった。11時頃に燕山荘に到着し、そこから燕岳側に50m進んだところでテント設営を行った。既にサイト地はカラフルなテントで埋め尽くされていて、お菓子みたいに見えた。必要な装備だけをT.Mさんのザックに詰め、山頂へと向かった。イルカ岩やメガネ岩など燕岳の奇岩に目を惹かれる。私は三度目の燕岳であるが、春は初めてでどこか懐かしさを覚えるものの夏とは違う雰囲気に新鮮さを感じた。南西に目を向けると北鎌の末端から槍の穂先まで美しく見え、西には鷲羽や水晶、北西には立山や剣、そして北には鹿島槍、唐松、五竜が見えた。私は一つ一つの山を教えてもらったりもしたが、半分くらいは自分で分かった。これまで二度登ったときには、「あの山が○○」などは全く分からなかったが、自分で分かるという体験ができたことに色々な面での成長を感じずにはいられなかった。改めて山の良さを噛みしめた。テントに戻り、ビールで今日の苦労を労った。E.Tさんの作る晩御飯は鶏鍋と〆にラーメンで、栄養が体にしみわたる気がした。美味しくて夢中で食べた。夕日で水晶岳が赤くなり、時間が経つのも忘れてただ見入った。今日はあまり寝ていないため、早めの就寝となった。

 合戦小屋から急登を歩くE.Tさん

 燕山荘から見た鷲羽岳・水晶岳方面の夕焼け

5/4(木)
4:00起き6:00出発であった。朝の味噌汁が体にしみた。今日の行程はアップダウンのあまりない稜線の歩きだったのでとても楽しみだった。支度をし、アイゼンを履いた。稜線上は雪もあったり、しばらく土が続いたりといった道が続いていた。15分ほど歩いたところで、ライチョウに遭遇した。白いライチョウをみるのは初めてでとても興奮した。目の上の赤色も体、雪の白と良い対比となっていた。天気が良い稜線歩きなので楽しい以外の感情が湧かなかった。雪庇、ハイマツ、岩、青空。私たちだけがこの景色を味わっているのがもったいないくらいだった。7:00過ぎに大下りの頭に着き、小林喜作レリーフに着いたのが8:40頃であった。ここからは大天井岳への急登であった。アイゼン、ピッケルを使う良い練習になった。登り応えのある道を進み、山頂へは9:30頃到着した。ここから続く喜作新道、そして東鎌尾根。見下ろすとエメラルドグリーンの高瀬ダム。おーっと歓声を上げてから、黙ってじっと景色を見つめるということを繰り返した。30分ほど山頂で景色を楽しみ、常念山荘の方へ向かった。またこの辺りからは燕山荘で見た槍の角度と少しずつ変わってきて、それに注視しながら進むのも面白いものだった。常念山荘への途中にピークがいくらかあるものの、そこに登らずピークを巻いていくので体力的にはとても楽だった。また雪もアイゼンが必要ないくらいで10:30過ぎに外し、ツボ足で歩いた。危険なところなどなく、快適に雪山を味わえた。日中は暑く、行動水として500mlあったが雪を食べたりした。T.Sさんがシロップを持ってこようとしたが忘れたみたいで私(とE.Tさん)は少し残念だった。次のときは持ってこよう。東天井岳の南西のなだらかなところで、男性が片足を雪にとられて抜けないようでいた。T.Sさんが手伝いに入り、E.Tさんが励ましていた。E.Tさんは越百岳であった片足が抜けなかったこと(事件?)をT.Mさんにどうしようもなかったことだと示そうとしていた。私は気を付けようと決めた。この日も順調なペースであった。横通岳を過ぎ、しばらくしたところで常念山荘が見えた。それから、尻セードで少し遊び常念山荘に13:00過ぎに到着した。サイト地には雪がなく楽にテントを張ることができた。山荘で記念バッジと赤、白ワインを購入した。ビールで乾杯し、S.Tさんから頂いたチーズを食べながらワインを飲んだ。それも槍や穂高(少し雲に隠れていたが)を見ながらだったので贅沢だった。今日の晩御飯はパスタと麻婆春雨でお腹が満たされた。体力的にも時間的にも余裕があったので、私とE.Tさんで気象図を描いた。何度描いても難しいが、今回はT.Mさんからokを頂いたのでとりあえず安心した。この気象図で6(土)の天気予報を各々でしたのは良い練習になったと思う。結局、この日も早めに就寝した。

 出発前に燕山荘から見た燕岳とサイト地

 大天井岳への登り

 燕山荘から少し歩いたところにいた雷鳥

5/5(金)
昨日と同じで4:00起き6:00出発であった。朝の味噌汁が体にしみた。この日は、アイゼンを履かずに出発した。常念岳への登りは急であったが、雪がそこまでなかったので登りやすかった。7:15頃山頂に着き、展望を楽しんだ。天気は良かったが、槍や穂高の方にやや色の濃い雲があった。蝶ヶ岳へは同じように稜線歩きで前穂や御岳、乗鞍に近づいていった。T.Sさん、T.Mさんから屏風岩のルートなどを教えてもらったり、E.Tさんにあの山は何でしょうという問題を出してみたり和やかに歩けてとても楽しかった。9:30頃に蝶槍の手前のピークでアイゼンを履いた。槍、大喰岳、中岳、南岳、大キレットなど素晴らしい。目の前の断崖絶壁をもう一方のpartyが登っていると思うと、別世界のような感じがした。振り返ると、堂々とした常念、その左に大天井岳が見えこんなところまで来たのかと実感した。10:30過ぎに蝶槍に着き、アイゼンを外し蝶ヶ岳ヒュッテに向かった。蝶ヶ岳の二つ尾根をT.Mさんから教えてもらい、なるほどと思った。E.Tさんが、「だから蝶なんですかねー?」と言ったので、またなるほどと思った。そうこうしていると、偶然ライチョウのつがいに出会った。こんなに天気が良いのにライチョウにまで出会えて幸運が続くなと感じた。蝶ヶ岳ヒュッテに12:00頃に到着し、30分ほどの休憩をとった。燕岳から蝶ヶ岳までずっと良い景色で、どこかの旅行会社のパンフレットにできそうな写真が何枚も撮れた。これまで見てきた景色ともお別れをして長塀尾根を下り始めた。樹林帯の中をグリセードでずっと遊びながら下った。傾斜のあるところは尻セードの練習もした。15:00前に徳沢に着き、今回の合宿の成功を祝ってビールと日本酒で乾杯した。徳沢を通ったことはあるがテントで泊まるのは初めてでとても雰囲気の良いところであった。もちろんだが、蛇口をひねると水が出てそのありがたみを身に染みて感じた。

 大天井岳山頂から槍ヶ岳

 常念岳と常念小屋

5/6(金)
7:50に上高地発新島々行のバスがあるため、早めに支度をして5:00過ぎにたくさんあるテントを抜け徳沢を後にした。気象図を見たT.MさんとT.Sさんの予想が当たり、出発するときには雨は降っていなかった。5:50頃に明神に着き、休憩していると小雨に気付いたのですぐに出発した。そこから小雨が降ったり止んだりであったが小梨平に着いた辺りで、はっきり分かる小雨となった。やや早歩きで上高地に着いた。
 蝶槍に向けて歩くT.SさんとE.Tさん

 蝶ヶ岳山荘と常念、大天井(これまで来た縦走路を見る)

  徳沢が目の前まで来たとき

今回の春合宿では、プレ合宿も含めて雪山(春山だが)にたくさん登ることができとても良い経験となった。少しずつ、そして無理をせずpartyの力になるような技術、判断、体力を身につけていきたいと改めて思った。


関西蛍雪山岳会トップページに戻る