冬山合宿 前穂高北尾根

2015年12月27日~30日
メンバー: 吉田(和)、野木

12月27日
平湯温泉バスターミナル前の宝タクシー営業所前に車を置き、6時に予約をお願いしていた宝タクシーに乗り、釜トンネル入口に向かう。装備を整え、ヘッデンをつけて6時に出発。トンネル内はあつい。汗をかきながら30分歩きトンネルを抜ける。大正池、上高地バスターミナルへと進む。荷が重く、トンネルに入ってから上高地バスターミナルまで2時間かかる。快晴。河童橋では気温がマイナス2度。春山のようだ。穂高がきれいに見える。雪は少ないが、人が多くは入っておらず高速道路状態までの歩きやすさはない。明神、徳沢へと向かい新村橋を渡るとトレースが無くなる。橋を渡り少し進んだところでワカンをつける。膝下のラッセルだが、きつい。最奥部の堰堤まで右岸を歩き、対岸にわたる。藪をかきわけ慶応尾根に取りつく。途中、野木はワカンとストックでは足が決まらず滑落の不安がありアイゼンに履き替える。その時に、二人組が後から追いついてきて、先行してもらうことになる。歩きにくい道を先行者と和さんがラッセルし16時ごろに予定を切り上げることになっていたため、2070mのところでテントを張る。途中、時折見える北尾根の各峰が素晴らしかった。夜は、FD親子丼と岩田さんからの差し入れチーズをいただきながら、焼酎少々飲み就寝。
[タイム]
釜トンネル入口(6:25) 徳沢(10:40) 奥又白出合[1600m](11:30) 慶応尾根テント場[2070m](16:00)

12月28日
気温はマイナス9度。あたたかい。少し登ったところに、昨日先行していた二人パーティのテントが張っていた。
一人体調が悪く下山するとのこと。この日からは和さんと野木の二人旅となる。膝上から大腿部までのラッセル歩行が続く。快晴無風で暑い。距離が伸びない。目指す前穂高北尾根の稜線、遠くには富士山、常念岳がきれいに見える。
歩き始めて5時間過ぎたところで、高度が300mしか上がっていない。8峰は遠い。
藪の尾根上、雪壁を登り、トラバースし、かなりの時間をかけ15時過ぎにはまだ2400m 弱。良いテント場を見つけ幕営。8峰は直ぐそばに見えるが届かず。ここで前穂へ抜けることは無理と判断。何とか北尾根を抜けたとしても吊尾根が同じ状況では抜け切れない。翌日は5,6のコルを目指すことに計画を変更。この日夜から、深々と雪が降る。テント場がよい場所であったため、風は強く感じられず快適な夜を過ごす。夜は、田口さんからの差し入れFDビーフシチューをいただく。
[タイム]
テント場(6:50) 慶応尾根上[2380m](12:00) 慶応尾根[2470m]幕営(15:15)

12月29日
気温はマイナス10度。雪が50cm以上は積っている。テント横のピッケル、ワカン、スコップなどすべて埋まっており、昨日のトレースも当然ない。出発し一人30歩ずつラッセル交代で進むが、腰までのラッセルで進まず。同じ30歩でも、野木の進む距離は和さんの半分。
途中、わかんからアイゼンに履き替え進み、2時間弱で八峰に到着。今までと違う景色が見えるのではと楽しみにしていたが、ガスっており残念ながら槍ヶ岳、奥穂高や北穂高を見ることはできなかった。まだ、雪に埋もれていない涸沢小屋は見ることができた。冬型の気圧配置で、時折風が強い。気温は低いようだが寒くは感じない。行けるところまでとの思いで7峰に向かおうとするが手足の雪が新雪で雪が固まらずすぐに崩れてくる。少し進むのも苦労する。雪が締まっていない帰りの雪壁の状況に不安を感じ八峰に戻ることにする。ここで撤退を決める。記念撮影だけして、徳沢にむけて下山開始。2200mのところまでは、トレースがきれいに消えており腰までのラッセルで下山。野木は、完全に体力不足でスピードが落ちる。ただ、下山は気持ち的には楽。徳沢につくと、いくつかのテントが張っていた。太陽の日があたたかく、青空がみえのんびり過ごすことができた。酒を飲みながら、できるだけ食糧を減らし翌日の軽量化に努める。星空が素敵な夜でした。
[タイム]
テント場(7:10) 八峰[2630m](8:50) 徳沢(15:00)

12月30日
気温マイナス14度。この日が一番寒く感じた。無風快晴。のんびりと上高地、大正池、釜トンネル入口へ下山。年末年始もオープンしている大正池周辺は多くの人がいた。また、横尾尾根や蝶などに向かう多くの登山者とすれ違う。
前穂北尾根から奥穂へ抜ける予定であったが、野木にとっては4泊5日では体力的に難しい計画であった。しかし、これぞ冬合宿と感じる登攀装備を担いでのボッカ、ラッセル、たっぷり雪遊びを楽しめました。そして、天気はよかったので素晴らしい景色を見ながら歩くことができました。再挑戦しなければですね。
[タイム]
徳沢(7:40) 釜トンネル入り口(11:10)


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